12月4日(月)、東京帝国ホテルにて、ユネスコ無形文化遺産登録10周年記念イベントとして「1204 和食セッション」~次世代に繋ぐ和食の集い~を開催いたしました。本イベントは、健康寿命延伸への貢献という視点と、体験を通じた知恵と工夫の再発見という視点から「和食」の価値・魅力をお伝えすることを目的に<和食と健康シンポジウム:講演>と<体験イベント>の2部構成といたしました。人生100年時代と言われている今、「和食」の果たす役割と期待の大きさを実感することが出来たイベントとなりました。(参加者:230名・関係者含)
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【開会挨拶:和食文化国民会議 伏木亨会長】
「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されて10周年を迎えました。ユネスコの遺産登録は、停滞しつつあった「和食」や日本料理についてその文化的な重要性や現代社会における価値を国民ならびに世界に再認識させた点で大変有意義のあることでした。今後、ますます「和食」の価値・魅力を発信していかなければと感じております。健康性と嗜好性を兼備した「和食」の発展のために、様々な分野の皆様方のご協力をお願いいたします。(一部抜粋)
【主催者挨拶:和食文化国民会議 熊倉功夫名誉会長】
文化の中で食文化概念というのは、比較的新しい分野である。2001年公布の文化芸術振興基本法、第十二条では、生活文化を茶道,華道,書道その他の生活に係る文化と規定し食文化は明記されていなかった。しかしユネスコ無形文化遺産登録後、文化芸術基本法の改正で、生活文化の中に「食文化」が明記されたことや食文化にかかわる3名の方が文化功労者を受賞されたことは、大変喜ばしく感じている。まだまだ国の文化財指定等、課題はあるが、2013年の登録当時のメンバーが年を重ねた今、これからを担う、新しいメンバーが「和食」の更なる発展に貢献することを期待したい。(一部抜粋)
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【ご来賓挨拶:農林水産大臣 宮下一郎 様】
ユネスコ無形文化遺産に登録10周年を迎えるに当たり、ユネスコへの登録活動や、和食の保護・継承・発展のために、これまで尽力して来られた貴会の皆様に対し、改めて心より御礼申し上げるとともに、10周年という節目の年を迎えられましたことをお祝い申し上げます。
時代の流れに伴う日本人のライフスタイルや食に対する意識の変化の中で、和食文化をいかに保護・継承・発展させていくかは、現代を生きる私たち一人一人の大きな責任であり、引き続き、皆様の御尽力にも大いに期待するところです。農林水産省といたしましても、「和食」の未来への継承に向け、引き続き、皆様との深い連携関係の下、国内における食文化の保護・継承・発展に向けた活動と、海外への日本の食や食文化の魅力発信を行ってまいりますので、御協力をお願いします。(一部抜粋)
<ビデオメッセージ>
【パリ「アストランス」シェフ パスカル・バルボ 様】
日本のみなさん、本日はおめでとうございます。「和食」がユネスコ世界無形文化遺産に登録されて10年がたちましたが、これまでの素晴らしい取組の成果に敬意を表したいと思います。レストラン「アストランス」では、毎日、日本料理の技術が用いられています。これは、私が京都で研修を行った際に学んだものであり、日本人の料理人や生産者、関係者から学んだ様々な技(わざ)です。焼き具合や食材への尊重、つまり素材のオーセンティックな味を最大限に生かすということです。また、健康面でも、日本食は、すべての食材のバランスを保ったまま、良い風味を構築することを約束してくれます。(一部抜粋)
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【第一部】< 和食と健康シンポジウム:講演 >
「和食が心身の健康に及ぼす影響」
東北大学大学院医学系研究科名誉教授 辻 一郎 氏
(要旨)
米飯・味噌汁・魚類・野菜・海藻・漬物・緑茶・大豆類の摂取が多く、牛肉・豚肉の摂取が少ない食事パターンは、循環器疾患死亡リスクや要介護・認知症リスクの低下などと関連し、健康寿命の延伸に貢献します。
<まとめ>
・日本食と認知症リスク低下の関連が国内の多くの研究で 確認され、そのメカニズムも解明途上にある(しかし介入研究は未だ行われていない)
・日本食には食塩が多く含まれる。近年、日本人の食塩摂取 は増加しており、個人と環境の双方に関する対策が必要である
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「健康に良い『食』と和食の関係性」
医学研究所北野病院理事長
京都大学名誉教授 稲垣 暢也 氏
(要旨)
健康寿命の延伸には、若い時の生活習慣病予防のための「食」と、高齢になってからのフレイル・サルコペニア予防のための「食」への転換が必要です。健康に良い「食」と和食の関係性について考えてみたいと思います。
<まとめ>
・若い時には、脂肪の獲り過ぎに注意し、過剰なエネルギー摂取を控えることにより、肥満や生活習慣病の発症を予防する
・日本食は、食材豊かで、欧米食と較べて脂肪量が少ない
・高齢になると生活習慣病予防からサルコペニア・フレイル予防にギアチェンジする必要がある
・サルコぺニア・フレイル予防のためには、タンパク質を多めに摂取し、運動を組み合わせると効果的である。
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< パネルディスカッション > 【和食の健康価値と可能性】
・東北大学大学院医学系研究科名誉教授 辻 一郎 氏
・医学研究所北野病院理事長 京都大学名誉教授 稲垣 暢也 氏
<ファシリテーター>
和食文化国民会議 伏木亨会長 / 甲子園大学学長
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・栄養、食事をどのように捉えるかという時に食事パターンという分類は興味深い
・日本食パターンの強い人ほど寿命が長い。しかしながら現状は、分析疫学的研究のレベル、今後、介入研究、ランダム比較試験の検証等のエビデンスの質の高さが求められる
・日本食の課題は塩分摂取量、惣菜のテイクアウトやお弁当の利用が増えているのも要因ではないか。そこで、家庭料理、だしの活用は重要である
・しかしながら、日本は、世界の中で塩分摂取量が多いが、健康寿命の長い。ジャパンパラドックスとも言えるこの要因を解明していくことに、大きな期待感がある
・生活習慣病は食生活の影響が大きい。日本人は、体質的に、脂肪や砂糖の取りすぎによる悪影響を受けやすい。一昔前の日本の食事が一つモデルとなる。「うま味」の再評価と子どもの頃からの食習慣が重要
・一方、高齢になるとサルコペニア・フレイル(筋肉量低下・虚弱)の問題が生じる。ある程度のエネルギー摂取が必要。そして食事では、筋肉のもととなるタンパク質を十分に摂る必要がある(腎臓の悪い人はタンパク質の摂りすぎに注意)
・「ギアチェンジ」は分かりやすいワード。食生活の中で和食は貢献できるのではないか。
・人生100年時代には、和食の重要性は増してくる
・健康的な食生活・食習慣を身に着けるためには、食育が重要。和食会議としてもその役割をはたしていくことが大切
※【和食と健康シンポジウム:講演会】の詳細は後日、YouTubeで公開いたします。
【第二部】:< 体験イベント> 【「和食」を支える基礎調味料と飲み物 】
「砂糖」「塩」「酢」「醤油」「日本酒」「日本茶」計6ブース
~見て・触って・違いを感じる、味わう、楽しい体験!~
【砂糖】日新製糖株式会社様:「砂糖の種類と特性」
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【塩】公益社団法人塩事業センター様:「どこで変わる?塩の味と使い勝手」
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【酢】株式会社Mizkan Partners様:「酢の力」
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【醤油】キッコーマン株式会社様:「しょうゆのおいしさ体験」
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【日本酒】日本酒造組合中央会様:「日本酒の味わい」
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【日本茶】株式会社伊藤園様:「おいしいお茶の入れ方体験」
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