2018年 全国「和食」連絡会議 第4回交流会 「1204和食セッション」~次代に繋ぐ和食の集い~ 開催報告(12月4日)

 12月4日(火)、全国「和食」連絡会議第4回交流会「1204和食セッション」~次代に繋ぐ和食の集い~が、千代田区の富士ソフトアキバプラザで開催されました。
「和食セッション」は和食文化の保護・継承に関して、和食会議の会員と全国で同じ志を持って活動されている会員以外の方々が情報を共有し、連携することによって、それぞれの行う和食文化の保護・継承活動を国民運動に発展させていくよう2015年より毎年12月4日に開催しています。ユネスコ登録から5周年となる本年は、和食会議が本年度より重点課題として取り組んでいる「五節供」に因んだプログラムとしました。
 
 本年の参加者は180名、13:00に開会、服部議長による開会宣言の後、ユネスコ登録5周年をふりかえっての熊倉名誉会長からの挨拶、伏木和食会議会長より和食会議役員の紹介、来賓の農林水産省食料産業局食文化・市場開拓課五十嵐和食室長挨拶があり、その後講演、ワークセッションが行われ、盛会のうちに16:50閉会しました。会場には「五節供」のパネルや、日本の節句文化を継承する会の協力による「節句人形」の展示も行われました。概要は以下の通りです。

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(1)講演
 ●和食会議顧問 神崎宣武様より「五節供(人日・上巳)の謂れ」と題して基調講演が行われました。「節供」を考える際にも、歴史上に現れた「起源」と、多くの人々に受け入れられた「普及」に留意しておく必要がある。その意味で「節供」の行事が「江戸仕様」として普及した江戸時代は重要。「節供」は江戸幕府の公日であり、それが民間、各地方に広がった。「節供」には供え物が不可欠であり、その代表は餅と酒、人日の七草粥と屠蘇、上巳の草餅と桃花酒もそれにあたる。その他、「正月」「節供」にまつわる謂れが分りやすく説明されました。

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 ●清 絢 調査・研究部会幹事より「人日・上巳の節供料理」と題して講演が行われました。文献や図画、料理や菓子のイラスト・写真を示しながら、人日(一月七日)、上巳(三月三日)に各地方で行われた節供の料理が説明されました。人日は七草粥ですが、使用される草には時代的な変遷と各地方での多様性があります。また、上巳の餅も草餅が最初ですが、菱餅を始め各地方でいろいろな菓子が作られています。

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(2)ワークセッション
  本年は参加者を3グループに分け、以下の3つの部屋を回って講話、プレゼンテーションを聞き、試食・試飲し、出展者と意見交換を行いました。
  
 ●「節供の日本酒と節供料理」:石川県白山市の車多酒造株式会社 代表取締役社長 車多一成氏より、同社の「天狗舞」を例に、日本酒の作り方、特に「米、水、人(杜氏)」の重要性が語られました。日本で初めて日本酒の地理的認証を受けた「GI白山」(当初は白山菊酒)の話や、重陽の節供(九月九日)に合わせて一斉発売される「ひやおろし」(夏を超して熟成させた日本酒)等興味深い話がされ、来場者は「天狗舞」や「五凛」を試飲し、技・知恵部会の長田勇久幹事協力による上巳の節供に合わせた手毬寿司を試食しながら楽しみました。

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 ●「伝統野菜の節供料理」:高知県で食に関するいろいろな活動をされている和食会議会員の百田美知氏より、「牧野野菜」を中心に土佐の伝統野菜の復活、普及活動のお話しがなされました。「牧野野菜」は高知出身の植物学者牧野富太郎博士が指示し、高知県各地で収集され、保存されていた野菜の種を高知の伝統野菜として復活させようとする取り組みです。来場者は、高知県アンテナショップ「まるごと高知」の協力による「牧野野菜」を使った雑煮や和え物を試食しながら、SNSを介した高知との中継を交えたセッションに参加しました。

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 ●「節供の和菓子」:全国和菓子協会 専務理事 藪光生氏による節供と和菓子に関する講話。来場者は、上巳の節供に合わせた「桜餅」(榮太樓總本舗)と煎茶(伊藤園協力でその場で急須でいれたもの)を味わいながら話を聞きました。五節供全てに寄りそう和菓子は無いけれども、しいて言えば餅となる。上巳、端午は子どもに関わる行事となって定着したため、それぞれに和菓子がある。上巳の雛あられ、菱餅、草餅、桜餅について、端午の柏餅、粽について謂れや、全国各地の多様性が興味深く語られました。 

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 ワークセッション会場にて、民輪連絡会議副議長より閉会の挨拶があり再会を約して16:50に終了しました。

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