令和6年11月20日(水)、東京都港区立白金小学校にて5年生121名の児童を対象に、11月24日“いい日本食”「和食の日」を前に、特別出前授業を実施しました。
2校時・3校時の2回に分け授業が行われ、冒頭、栄養教諭の宮鍋先生から、「11月24日は和食の日です。今日の授業を通じて和食の良さ・基本をしっかり勉強し、家族や周りの人に伝え、広めてください」とご挨拶がありました。特別講師は、和食会議会員である近茶流宗家・柳原尚之氏が担当し、和食にとっての「だし」の大切さを、見る・触る・舐める・飲むなど様々な体験を通じ、印象深く伝えました。
① 「和食」4つの特徴、ユネスコ無形文化遺産など
② 「和食」の基本は「だし」「水」「醸造調味料」(洋食・中華は「脂」「香辛料」)
③ 「こんぶ」を見る・触る・香りを感じる(昆布の色・長さを実感)
④ 「こんぶ」を舐める(自分の唾液で「うま味」を感じる)
⑤ 削りたての「かつおぶし」を見る・香りを感じる
⑥ 「だし」の試飲(かつおぶし・こんぶの合わせだし、だし引きの動画を視聴)
「和食の特徴の一つは、豊かな食材」「海に囲まれ、70%が山。豊富な魚が採れ、綺麗でいい水が日本料理を支えている」などの講義があり、「だしは何から出る?」との質問には子どもたちから「かつおぶし」「こんぶ」「干ししいたけ」といった声が上がりました。次に五味の話の後、うま味を実感します。一口サイズのこんぶが全員に配られ、舐めてみます。「よだれをごくっと飲んだ後、舌に残った味がうま味です」と説明がありました。
子どもたちは、長折昆布を見てその長さに大いに驚き、削りたてのかつおぶしで香りを実感します。最後に、だし引きの映像を見ながら、全員が合わせだしを試飲。「こんぶの生産の約90%は北海道、かつおぶしは主に鹿児島でつくられる。北と南の食材を使い、日本のいい水で、おいしいだしが引ける」と説明があり、子どもたちからは、口々に「おいしい!」「香りがいい!」との感想が聞かれました。いくつもの体験を通じ、いきいきと輝いた表情で楽しく「和食」や「だし」について学ぶことができました。
給食は和食献立で、白いご飯、ぐる煮の汁物(高知県の郷土料理、昆布と煮干しだし)、かつおの南蛮漬け、ゆず風味あえのおひたし、ぶどう、牛乳とお茶、金平糖とボーロでした。
全員で姿勢を正し、「いただきます」の発声とともに和食器を使って給食をいただきました。子どもたちは、美味しそうに、楽しそうに喫食をしていました。
喫食中に、農林水産省の牧之瀬食文化室長より、「和食は先人が作り上げてきた大切な文化。豊富な食材、栄養バランス、年中行事との関わり、食に感謝する気持ち、今日の授業で学んだこと、和食給食を通じて感じたこと、そして和食の良さをみんなで受け継いでほしいです」とご挨拶がありました。
次に三信化工株式会社・海老原誠治氏から「大切にする思いのかたち」をテーマに、器の文様における意味、他文化の尊重、自然の恵みや食べ物への敬いについて話がありました。その敬う気持ちを受け継いでいる私たちは、「いだだきます」という言葉で表現しているという説明に、子どもたちは、日頃は意識せずに挨拶をしていた言葉の意味を深く理解出来た様子でした。
そして、全員で「ごちそうさま」をして、「和食月間」特別出前授業は終了いたしました。子どもたちは数々の貴重な経験を通じ、印象深く記憶に残る1日となりました。