2024年2月2・14日 東京都立中央ろう学校 出前授業実施報告

 和食文化国民会議調査・研究部会幹事、東京聖栄大学教授の福留奈美氏による出前授業「だしの教室」(90分)を杉並区にある東京都立中央ろう学校・中学部(2月2日、2年生、15名対象)、高等部(2月14日、5年生、20名対象)で行いました。
 授業は、「日本に昔からある伝統的な調味料は?」という質問から始まり、その後、みそ湯とみそ汁(煮干しだし入り)の味くらべ、煮干しの解体・試食、味の種類(基本味5つとその他の味)を確認しました。また、その後、昆布だしとかつおだしとそれらを合わせただしの味くらべを行い、各々の味わいとうま味の相乗効果を実感。さらに、熱湯に昆布と削り節を入れて即席(インスタント)の合わせだしを作り、手軽に作れるだしの体験をしました。体験を中心とした授業で、生徒のみなさんの反応もよく、積極的な学びとなりあっという間に90分の出前授業は終了しました。

【体験学習内容】
みそ湯とみそ汁(煮干しだし入り)
みそをお湯で溶いた「みそ湯」と煮干しのだし入り「みそ汁」を味くらべだしの香りとうま味有無による違いを確かめ、だしのうま味について学びました。

煮干しの解体と味見
大き目の煮干しを身と骨と頭とはらわたに分け、それぞれを味わいました。はらわたは「苦い!」、身は「うま味が強い!」と、部位による違いを実感していました。

「昆布だし」「かつおだし」の味くらべ
「昆布だし」「かつおだし」をそれぞれ試飲。その後、2つのだしを混ぜ合わせた「合せだし」の味を確かめ、うま味の相乗効果を体験的に学びました。

昆布とかつお節の味見(材料)
だしの材料となるカット昆布とかつお節(削り節)を味見し、併せて、だしがらの味も確かめました。だしをとる前ととった後のだしがらでは、味わいが全く違い、うま味成分が液体のだしの方に出ていったことを体験的に学びました。

即席合せだし作りと試飲
熱い湯の入ったカップにカット昆布とかつお節(削り節)を入れて即席の合わせだしをとりました。カップ1杯からでも手軽にだしがとれる方法で、「おいしい。昆布も食べていいの?」と生徒たちはそのおいしさをしっかり味わっていました。

うま味の相乗効果とうま味の減塩効果
異なるうま味成分(昆布:グルタミン酸、鰹節:イノシン酸)が合わさると1+1=2ではなく、7~8倍に強くうま味を感じることや、塩とうま味の対比効果によって塩分が減らせることを学びました。

だし食材4種の観察
昆布・かつお節・煮干し・干し椎茸の乾物の観察。ギネスにも認定されている世界で一番堅い食品であるかつお節(本枯節)は、現物を初めて見た生徒も多く、触って、握って、興味深く観察していました。
 
※それぞれの体験は、用意した「だしの教室」ワークシートに感じたことをまとめながら行いました。

 最後に、(一社)和食文化国民会議の「プチ和食講座」(https://washokujapan.jp/mini_washoku_lesson/info-20211216/)の動画Vol.1,2,4を視聴し、授業は終了しました。