国際医療福祉大学(成田キャンパス)出前授業報告

 5月8日(月)に国際医療福祉大学(成田キャンパス)にて、成田看護学部・成田保健医療学部の学生34名に『世界の中の和文化 ユネスコ無形文化遺産「和食」を知る』をテーマに出前授業を実施いたしました。講師は和食会議事務局の岡村事務局長が務めました。
 授業は前半と後半に分けて、前半は「和食」とは何かをテーマに、ユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」をその4つの特徴とそれを支える「だし」「発酵調味料」「米」「水」などについて説明をしました。その後、和食に要である「だし」の体験学習として昆布とかつお節の合わせだしを試飲していただき、その「うま味」を体感してもらいました。
 後半は「和食」を取り巻く環境と課題を説明して、自身の立場に立って、学生のみなさんに考えてもらう授業を行いました。
以下、授業後の学生のレポートの紹介です。(抜粋)
実際に自身の立場に立って考えた貴重な意見です。是非、お読み下さい。

(看護学科2年)
・だしを試飲した感想は、優しくて心が温まる味であり、匂いも美味しそうと感じるような鰹節の風味があり、口の中で味が旨味と風味が広がる感じがした。どこか懐かしさも感じて、ホッとした。これは旨味が先天的なものであるということが関係し、私が幼い頃から母が私にだしを混ぜて離乳食を作って食べさせてくれていたからなのかなと感じた。実際に予習のために自分で昆布からだしを作ったときは今日試飲したものよりも透明で味も薄かった。しかし、それを使って料理を作ると大変美味しく作ることが出来た。そのため、だしにも様々な種類があり、何からだしを取るのかにもよって様々な風味を生み出すことが出来るのだと感じた。

(看護学科2年)
・だしに限らず「和食」は手間がかかるため、家庭から離れているのが現状である。調理の手間を省略することは、食や命、自身の健康に対する関心の喪失ともいえる。調理の手間に対する抵抗感を克服するために料理教室や家庭科の調理実習で和食づくりを体験する。あるいは、好みの味に落ち着くまで、試行錯誤を繰り返す。このようにして、和食づくりに楽しさを感じる時間を確保し、関心をもつことが、日本人の和食離れを解決する一つの方法だと考える。

(看護学科1年)
・授業の出汁は昆布と削り節、うす口醤油であり、家のは化学調味料無添加の鰹節のパック出汁なため使う食材も全く違ったが、香りやじっくり味わうとうま味をより感じられる部分は同じだった。時間をかけて食を楽しむことでリラックス効果を得たり、家族団欒の時間を過ごしたりすることができる。このことを理解できれば和食はさらに広まるだろう。

(看護学科1年)
・私たちの食卓から和食が消えてしまわないためには私たちはどうすべきか、どうすれば和食を食べ続けられるか、というような問いで、次のような意見が出た。”お店で作られた和食を買って食べる。”や、”電子レンジで温めればすぐに出来上がる和食を食べる。”という意見だ。しかし私はこれを聞いて私自身がモヤモヤしている気がした。確かに、私たちが将来医療従事者になり、ご飯を作る元気さえないときに、自分でご飯を作らなくてもよいそれらは、和食を食べるという面では現実的な意見だと感じた。しかし、本当にそれでいいのか?と感じた。祖母の和食と母の作る和食のレシピは同じでも味が違う。和食は真似したくても全く同じ味を作ることは難しい。それがいいことだと私は思う。だから味が濃くなっても、薄くなっても、それが自分の味だから、和食を作ることが、和食が日本の食卓がなくならないための第一歩になり、私たちができることだと思う。将来忙しくなると思うが、週に1回だけでも和食を作る日を決めたり、作り置きをしたりすることもいいと感じた。

(看護学科2年)
・私の自宅では、粉末状のだしを使っている。それと比べて今回試飲しただしはよりうまみを強く感じた気がした。毎日は難しいけれど、たまに自分で取っただしで料理をしたいと思った。

(看護学科1年)
・今回の講義でだしを試食して、出しの味はとても美味しく、おばあちゃんの手料理を思い出した。初めは鰹節の香りや味を感じたが、最後の方は鰹節よりも昆布の味を強く感じて、途中で味が変わって感じたことに驚いた。最近はだしからとることが減っていたけど、時々時間がある時は実際にだしをとるところから行うのもいいなと感じた。

(看護学科1年)
・和食や郷土料理が日本の食卓から消えつつある現状は、堅苦しくなく、価格もお手頃な和食屋や郷土料理を食べられるお店を増やすことで改善できると考える。私も和食は大好きだが堅苦しい和食店よりも、短い時間で提供されるファストフード店や、価格の安い洋食店を選びがちになる。人気店のシステムを導入することは和食の広がりに繋がると考える。

 今回の授業の機会を頂きました、山本先生、教務課の芳垣様の協力に感謝申し上げます。