第二回 普及・啓発部会 開催

平成27年8月28日(金)、皇居外苑 楠公レストハウス(東京都千代田区)にて、和食会議 第二回普及・啓発部会が開催されました。

熊倉会長による開会の挨拶では、和食月間である11月は24日の「和食の日」をはじめ様々なイベントが開催される。省庁や各団体の活動とも連携を組みながら国民にもっと「和食」を注目してもらえるように励んでいきたいと意思表示がありました。また、新たに設置する「全国和食連絡会議」と「だしで味わう和食の日」のイベントについて紹介がありました。

部会は、

・熊倉会長による開会のあいさつ

・講演「おいしさを科学する」伏木部会長

・部会員情報交換「江戸の味をエコ・クッキングを通して再現し、食育・環境教育に貢献する取り組み」
楠公レストハウス 阿部総料理長

・部会員情報交換「日本の酒、世界の酒」増田副部会長

・各部会より報告事項

の順で和食文化についての知識を学び、部会員の活動について情報共有を行いました。部会終了後には同会場にて、江戸時代のエコ・クッキングのアイデアを取り入れた「江戸エコ行楽膳」を増田副部会長のお勧めの日本酒で頂く懇親会が開かれました。
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「おいしさを科学する」
伏木部会長の講演では「おいしさは食べ物に中に存在するのではなく、個人の感覚によって感じるものである」という概念に基づき、おいしさとは食べ物と食べる人の関係の中に存在し次の4つの要素から成り立っていると説明がありました。

1.生理的要素
生きていくために必要とされるものは「おいしい」と感じる。砂糖などを甘いと感じるは生きていくために必要とされる栄養素。

2.文化的要素
生まれ育った土地で食べていたもの、または親が食べていたものは「おいしい」と感じる要素。卵焼きに砂糖を入れるか否かを例にして解説。

3.情報的要素
動物的判断能力が衰えてしまった人間にとっては耳から入ってくる情報が「おいしい」と感じさせる重要な要素であると説明。著名人の声やパッケージ、賞味期限などの情報によって安全でありおいしいという判断に至る。

4.報酬的要素
やみつきの「おいしさ」の事。砂糖・油・だしが入っていれば「おいしい」と感じる。現代の食はまさに快楽の食。

国民の栄養状態が変化すると美味しさの基準も変化し、現代では決して甘いものは最高のおいしさではなくなった。和食普及のためには、これらの要素を組み合わせていく事が有効であると解説がなされました。

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「江戸の味をエコ・クッキングを通して再現し、食育・環境教育に貢献する取り組み」
阿部氏からは、楠公レストハウスを運営している一般財団法人 国民公園協会が取り組んでいる食を通しての貢献活動について発表がありました。まず、国民公園とは、皇居外苑・京都外苑・新宿御苑の3苑の事であると説明があり、その中の皇居外苑は皇居と合わせると東京ドーム約46個分に相当する広さであり、広大な水辺と緑地を保有している事を付け加えられました。

国民公園という国民の共有財産という位置づけである皇居外苑が目指すものは、皇居外苑という唯一無二の資産を活かしながら、また、財団法人が提供するという食を追求し持続可能な高付加価値の商品やサービスを創り出していきたいと考えていると提唱されました。具体的には

・歴史的資産を活かしながら環境に配慮した食の取り組み
・エコ・クッキングを用いて江戸時代の食を再現
・食育環境教育に貢献する

これら3つを柱に「食」を通しての社会貢献活動を行っていると発表されました。中でもEDO ECOクッキングプロジェクトはエコクッキング推進委員会様および東京ガス様との協同プロジェクトであり今年で6年目を迎えるとの事でした。本日の懇親会で披露される「江戸エコ行楽膳」をはじめとした料理の開発や、それに関連する地産地消、リサイクルなどの取り組みについてお話がありました。

このような取り組みの結果、レストハウスも今までのお客様に加え、地元の方の利用や様々なイベントの開催、地域連携や学校との連携も強化されてきているという事でした。年間7万人の団体様に利用される中の約2万人が小中高の生徒さんによる利用のようでその内の半分以上が従来の価格重視のメニューから、新たに開発したメニューに切り替えて頂いているという報告がありました。
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「日本の酒、世界の酒」
増田副部会長の講演では「最近の日本酒事情」を中心に、昭和50年をピークに現在は3分の1まで消費量が落ち込んでおり、
特に20歳代の消費が落ち込んでいるが逆に60歳代・70歳代のみ伸びている。また日本酒を飲む理由としては「味が好き」が多いが、一人当たり消費量は1日200cc程度が現状である、との説明がありました。

また、日本酒の輸出量が多い国は韓国、台湾、米国、香港、オーストラリア、中国の順であるがオランダでは220%も伸長しており、日本酒が和食と共にブームとなっていることなど、タイプの違う4種類の日本酒のテイスティングを楽しみながら、日本酒についての豆知識を得る機会となりました。

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[普及・啓発部会] 普及・啓発部会幹事の原氏からは、今年度の活動について報告がありました。

11月24日「和食の日」をより多くの国民に知ってもらうことに重点を置き、量販店の売り場を和食の日としてPRしてもらい、和食の日にはご飯をはじめとする「和食」を食べる事を提唱している。主に技・知恵部会が取り組んでいる全国の小学校を対象とした「だしで味わう和食の日」の企画とも連携して啓蒙活動をすることが報告されました。また和食の日に伴い、ポスターのデータを和食会議のホームページ上に掲載する事も合わせて報告されました。

[技・知恵部会] 技・知恵部会幹事の田島氏からは11月24日和食の日の企画として、全国の小学校を対象に「だしで味わう和食の日」の説明がありました。和食の日には給食で和食を出してもらい、そこでだしを使ったすまし汁を飲んでもらうというもの。学校の先生には給食を食べながら和食やだしの話をしてもらえるように簡単なテキストも用意。だしについての資料には生徒さんが自宅に帰った際に話題にしてもらう目的でご家庭向けの資料を付与している、との説明がありました。 [全国和食連絡会議] 和食会議相談役である山本氏からは新たに設置される「全国和食連絡会議」について説明がありました。

服部学園の服部幸應理事長を議長に、和食会議会員にとどまらず、和食の保護継承活動をしている全国の個人、団体、企業との連携活動を請け負う機関となる事を説明されました。具体的な活動内容については、フェイスブックを使用したプラットフォームを構築し会員内外での情報交換の場を提供する。また、和食がユネスコ無形文化遺産登録された12月4日には全国和食連絡会議に参加下さった会員外の方と会員が実際に交流を図り、情報の交換や活動の連携を組める機会を予定している、との説明がありました。

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第三回普及・啓発部会は12月上旬に、部会員であるシダックス様の施設(東京都渋谷区)をお借りして開催する予定である事を須田幹事より報告がありました。