国際医療福祉大学(成田キャンパス) 出前授業報告

 5月9日(月)、国際医療福祉大学(成田キャンパス)にて、成田看護学部・成田保健医療学部の学生約46名を対象に、『ユネスコ無形文化遺産「和食」を知る』のテーマで出前授業が開催され、和食会議事務局の横田・大山が講師を務めました。

 授業の前半は、「和食」を取り巻く環境として、海外から注目されている「和食」とその一方で国内では米の消費量減少、「和食」がユネスコ無形文化遺産の登録された背景と失われつつある和食文化について共有。そこから、ユネスコに登録された「和食:日本人の伝統的な食文化」の4つの特徴とそれを支える重要な「だし」「水」「調理法」「発酵調味料」等について解説し、さらに、SDGs視点からも和食文化の保護・継承が重要であること、次世代の担い手としてそれを伝えていくのが皆さん一人ひとりであることを伝えました。
 後半では、和食の要である「だし」の体験学習として、だしの材料の説明のあと、実際に昆布とかつお節でだしをとった吸い物(吸い地)を作り学生の皆さんにその「うま味」を体感してもらいました。
 以下、授業後の学生のレポートを紹介します。(抜粋)
現代の若者の貴重なご意見です。是非、お読みください。

【医学検査学科1年】
私は現代にこそ和食が必要であると考える。和食は現代人に不足しがちな栄養素をバランスよく補ってくれる。また、食材を余すことなく使うことができる点や、地産地消によって移動に使われる CO2 を削減することができる点は SDGs にも対応している。なにより、和食は日本人の根底に位置する重要な文化であり、日本人の心身的な支えとも言えると考えるためだ。例えば、すごく疲れている時にふと味噌汁が飲みたくなることがある。故郷や家庭の味を思い出させてくれる和食は日本人にとって重要なものだろう。

【看護学科1年】
今回の講義で合わせ出汁を飲み、家に帰ってからいつも使用している粉末状の出汁を飲んでみた。上手くは表現できないが、粉末状の出汁より合わせ出汁の方が深い味わいで「うま味」とはこれなのかなと感じた。和食のイメージとして「調理が難しい」「準備に手間がかかる」といったものがあるとお話があったが、この手間があるからこそ和食は美味しく、外国人の方にも好まれるのではないかと感じた。

【医学検査学科1年】
だしを作っていただき試飲したときに和を感じることができ、自分も日本人としてこういった和の食事を作れるようになりたいと思った。そして将来は、この食文化を次世代に受け継げるようになりたいと感じた。

【医学検査学科1年】
作っていただいたダシを試飲したが、昆布や削り節の本来の旨さが引きでていてとても美味しかった。今一人暮らしをしているが、いただいた資料をもとに自分も作ってみようと思った。また、この文化を大切にしてき、自分でもいろんな和食を作れるようになりたい。

【言語聴覚学科1年】
かつお節と昆布の混合だしを試飲し、日本のだしを体験することが出来た。私の家はよくかつお節と昆布の混合だしを使用するが、家で飲むのとは味が違うように感じた。作る人や、かける時間や使うもので味が変わることから、繊細な食材であると感じると共に、作りがいがあり個性を出せる面白い食材とも感じた。だしにも色んな種類があることが分かったため、知識だけを蓄えるのではなく、実際に作って試すという体験をして行きたいと思う。それが日本食を伝えていくことにもつながると考える。

【医学検査学科1年】
和食文化の継承が少なくなっている原因の1つは、作るのが難しいとのイメージが定着していることである。また、現代の若者達の簡便化志向が強まっていることも含まれる。継承の問題を解決するためには、和食文化の良さを伝えるのはもちろんのこと、簡単に作ることが可能であることを示すべきだ。講演会などで実際に目の前で作ってみるほか、多くの人に作る体験させることで、より一層人々の和食文化への関心が高まるのではないかと考えている。授業の中で、鰹節と昆布でとった出汁を体験する機会があったが、実際に飲んでみると、鰹節と昆布の優しい香りと味が、口いっぱいに広がった。また、目の前で作っているのを見て、意外と簡単に作れるのかと驚いた。

【看護学科1年】
国外の製品が手に入りやすくなり、一日三食のうちにパンや麺類といった和食
以外のものを口にする人は多い。そして、パンや麺類などは既に加工調理された形での販売が多く、忙しい日本人にとっては料理をする手間を省くために、よりいっそう和食以外の加工製品を食生活に定着させている。実際、私も和食を食べる頻度は少ない。こうした日本人に、どうしたら和食を食べてもらえるのか明確な結論が講義中はあまり見えなかった。しかし、日本人の大部分は和食も好きで、和食が健康にいいことを知っている。和食が健康に良いという知識が日本人にあるうちに、和食の食べる機会を増やし、再び和食が定着するようにしたい。そうすれば、家庭から無くなりつつある和食が戻ってくると思う。

【看護学科1年】
今日は初めてだしだけを飲んだ。体に沁みる濃すぎず優しい味なのに、まるで調味料を使っているかのようなしっかりした味を感じた。食材から取っているため体にもよく、味もしっかりしていて他の調味料もいらず、和食が健康的と言われる理由の1つについて身をもって感じることができた。

 今回の授業の機会を頂きました、山本先生、事務部教務課の芳垣様の御協力に感謝いたします。
今後も和食会議では、出前授業を通じて、和食文化に触れる機会を継続的に実施していく予定です。