平成30年度 第3回普及・啓発部会  開催報告

 平成31年2月27(水)皇居外苑 楠公レストハウスにおきまして、平成30年度第3回普及・啓発部会(第1回8月22日、第2回合同部会10月29日)が開催されました。
 今回の部会では、五節供の「上巳の節供、端午の節供」にフォーカスし、講演を実施しております。
 会場には、「節供人形」(節供文化を継承する会)、「桃、菖蒲、雛人形などの文様の太巻き祭りずし」(千葉伝統郷土料理研究会)が飾られ、春を感じる会場で部会が開催されました。
 冒頭、後藤部会長による開会の挨拶がなされました。

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DSC05828後藤部会長
 
 最初の講演では、「五節供:上巳の節供、端午の節供」をテーマに、当団体顧問 旅の文化研究所所長 神崎宣武様より講演が行われました。
 「上巳の節供」は、「雛の節供」、「桃の節供」とも言われます。
 「節供」は、中国伝来の漢語ですが、古く日本でもセツビとオリメと呼ぶ忌み祓いの行事があり、それが中国伝来の節供行事と複合し、体調を崩しやすい時季に健やかに過ごせるように「まじない」を発達させたそうです。
 そのひとつが、身につけた穢れを祓う事です。例えば紙の人形で体を撫で、息を吹きかけ穢れを移す。そしてその人形を川や海に流す「雛流し」が古い習俗であったそうです。現在の雛人形は、そうした流し雛が装飾化された極みにあるとのことで、今日風の雛人形が広まるのは、元禄の頃です(女子の節供となるのは、雛飾りの普及に合わせてのこと)。
 「端午の節供」といえば、鯉のぼり、兜飾りを連想するが、それが流行るのは江戸の町からで、全国に広がるのは近代以降です。「端午の節供」のもっとも古儀を伝えるのはショウブ(菖蒲)であり、ショウブに勝る旬の霊力は他にない。ショウブは、においが強く蛇や虫をよせつけないことから呪力の強い植物とされ、刀剣に見立てられたそうです。菖蒲湯や菖蒲酒も同様で、菖蒲湯のような薬湯への入浴習慣は、極めて日本的な発達と言えるそうです。
DSCN3828神崎氏 講演の様子

 次に、千葉県の郷土料理である「太巻き祭りずし」について、千葉伝統郷土料理研究会 主宰 龍崎英子様より講演が行われました。
 千葉県の郷土料理であり伝統技術ともいえる「太巻き祭りずし」との出会いからその継承について、お話をしていただきました。龍崎様の探求心と発想に感心すると共に、龍﨑様と一緒に郷土料理を継承して来られた方たちの思いを感じることができました。
講演会場の10班ある各テーブルでは、千葉伝統郷土料理研究会の方が巻きずしの調理を目の前で実演し、上巳の節供に合わせた「桃」の文様、端午の節供に合わせた「菖蒲」の文様を巻きました。それを切り分け、文様が見えた時のクオリティ―の高さに感動しました。
その後、各テーブルでは2種類の巻きずしを全員で味わい、その出来栄えと美味しさに笑顔があふれました。

DSCN3856龍崎英子氏
DSCN3872「太巻き祭りずし」調理の様子
DSCN3894出来上がった「桃」「菖蒲」柄 太巻き祭りずし

 今年度は、各部会及び連絡会議において五節供に取組み、講演会、五節供メニューの試食体験など様々な企画を進めて参りました。
 会員の皆様が得た知識を活かし、和食文化の継承活動や五節供の取り組みによる和食の喫食機会拡大に繋げていくことを望んでいます。

 講演の後は、普及・啓発部会の活動報告です。「だしで味わう和食の日」の結果を鈴木プロジェクトリーダーより報告、そして、和食会議HPに開設した「出前授業」について須田副部会長より説明がなされました。
 そして今年度、講師として小学校等で子供たちに和食の授業を行ってきた会員(一般社団法人大日本水産会、千葉伝統郷土料理研究会、三信化工株式会社)より、報告をお願いしております。
 「出前授業」では、これからも会員の皆様の得意分野を活かしながら、子どもたちへの和食文化の継承に繋げて参ります。

DSCN4017鈴木プロジェクトリーダー
DSC05867大日本水産会 早武氏
DSCN3952千葉伝統郷土料理研究会 姥島氏
DSC05875三信化工 海老原氏
  
 最後に来賓の農林水産省 五十嵐和食室長より来賓のご挨拶を頂きました。
 来年度の農林水産省の事業では、3点あり①郷土料理に取組み、各地域の食文化を調査しデータベース化することにより次世代へつなげていく、②栄養士・保育士の育成、③官民協働で進めるLet‘s和ごはんプロジェクトを推進していくとのお話がありました。
DSCN3968五十嵐和食室長

 部会終了後には、楠公レストハウスによる「節供」をテーマにした料理を頂きながら懇親会を行い、盛況のうちに終了いたしました。

DSCN3986安部総料理長 料理説明
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今回の部会に際し、ご協力・ご協賛いただきました会員の皆様には、心より御礼申し上げます。