平成28年2月20日(土)、東京家政学院大学にて調査・研究部会の第二回講演会および第三回部会が開催されました。
講演会参加者は147名(会員26名、一般121名)、部会参加者は18名(役員10名、会員8名)でした。
【次第】
司会 副部会長 大久保 洋子
13:00 開会挨拶 部会長 江原 絢子
13:10 講演1 千葉県立保健医療大学教授 渡邊 智子氏
14:10 休憩
14:20 講演2 料理研究家 後藤 加寿子氏
15:20 閉会の辞 副部会長 的場 輝佳
15:45 部会
【内容】
<渡邊智子氏 講演「和食と食品成分表」>
ユネスコの無形文化遺産に登録された「和食」が、料理そのものではなく、「自然を尊ぶ」という日本人の気質に基づいた「食」に関する「習わし」と位置づけられていること、和食文化の特徴が①多様で新鮮な食材と素材の味わいを活用、②バランスがよく、健康的な食生活、③自然の美しさの表現、④年中行事との関わりであることを伝えた後、日本食品標準成分表の策定目的、収載食品数の変遷等を解説しながら、2015年版(七訂)の内容に触れました。
和食と食品成分表に関して、だし類、しょうゆ類、みそ類、食酢類、調味ソース類などがそれぞれ複数記載されていることや、大豆とその加工食品の記載が多様であること、日本で多く用いられる食品の調理法や品種による記載の違い、そう菜の取扱いについて等、様々な観点からのお話がありました。
<後藤加寿子氏 講演「家庭の食育」>
「和食」の持つ「自然を尊重する精神」を食育を通して学んでほしい、という思いのもと、家庭料理としての和食に関する知見や現代において和食が変化してきた背景と共に、子ども達の食の経験を育む為に実践してきた内容を紹介しました。だしの味は「教養」のように経験することで伝わること、まずは「薄い味」から食の経験を始めることが大切であり、「五味」を味覚だけでなく五感のすべてを使って感じる経験が必要であることを伝えました。幼児のうちにだしの味や薄味を覚えておくと一時的に濃い味、西欧の味に慣れても最終的には「戻って来れる」という伏木亨氏の説を実体験しています。実践的な取り組みとして、フランスで開催されている「味覚の一週間」で実施した食育の授業を紹介し、フランスの子どもたちがだしを味わったり日本の食材に触れた時の様子を多くの写真を交えながら解説しました。
また、日本の食育として「いただきます」「ごちそうさま」を口にする事、お箸の使い方、食事と飲み物の組み合わせ、旬の素材を食べること等を、経験を通して子どもたちに伝えていきたいとお話がありました。
<部会>
平成27年度の事業レビューと平成28年度の事業計画案を報告した後、今後の活動について会員の方々と活発な意見交換がなされました。
また、調査・研究部会新役員に森岡浩美氏(一般社団法人キャノン財団総務部長)が2月20日付で幹事に就任しました。