令和7年11月20日(木)、東京都江東区立東陽中学校にて1年生84名の生徒を対象に、11月24日“いい日本食”「和食の日」を前に、2つの特別出前授業を行いました。講師は、和食会議会員である近茶流宗家・柳原尚之氏、三信化工株式会社・海老原誠治氏が担当しました。
授業は3校時・4校時に行われました。冒頭、生徒の代表者から「日本の伝統文化であり、ユネスコ無形文化遺産に登録されている「和食」の特徴について学び、関心を高めましょう」と挨拶があり、続いて主幹栄養教諭の平本先生から講師の紹介がありました。
最初は、海老原誠治氏から「大切にする思いのかたち」をテーマに、「和食」の多様性や他文化の尊重、器の文様における意味、自然の恵みや食べ物の命への敬いなどについて話がありました。その敬う気持ちを受け継いでいる私たちは、「いだだきます」という言葉で表現しているという説明に、子どもたちは、日頃は意識せずに挨拶をしていた言葉の意味を改めて深く理解出来た様子でした。


次に、柳原尚之氏より、味覚を育てることの大切さ、「和食」「だし」について、見る・触る・舐める・飲む・食べるなど五感での体験を通じ、わかりやすく伝えました。
①ユネスコ無形文化遺産「和食」4つの特徴
②「和食」の歴史(生食や箸の文化、昆布の産地など)
③「和食」の基本は「だし」「醸造調味料」(洋食・中華は「脂」「香辛料」)
④「昆布」を見る・触る・香りを感じる(昆布の香り・色・長さを実感)
⑤「昆布」を舐める(自分の唾液で「うま味」を感じる)
⑥削りたての「鰹節」を見る・香りを感じる・食べてみる
⑦「だし」の試飲(昆布・鰹節の合わせだし、だし引きの動画を視聴)
「和食の特徴の一つは、豊かな食材」「日本は4つの海流に囲まれ、豊富な魚が採れる。そして70%が山。綺麗でいい水が日本料理を支えている」などの講義があり、その後「和食」における「だし」の大切さを、体験を通じて伝えました。生徒たちは、本物の長折昆布を見てその長さに驚き、その後一口サイズのこんぶが全員に配られ、舐めてみます。「よだれをごくっと飲んだ後、舌に残った味がうま味です」と説明がありました。そして、削りたての鰹節の香り・味わいを実感しました。
最後に、だし引きの映像を見ながら、全員が合わせだしを試飲しました。昆布と鰹節のだしによる「うま味の相乗効果」を実感し、生徒たちからは、口々に「おいしい!」「香りがいい!」との感想が聞かれました。いくつもの体験を通じ、いきいきと輝いた表情で楽しく「和食」や「だし」について学ぶことができました。




授業の後に、農林水産省の勝野美江氏より、「今日、和食文化について勉強したことを家の人にもお話いただき、これからの食生活に繋がることを期待しています」とご挨拶がありました。

給食は、和食器を使った和食献立で、ゆかりごはん、鶏つくねの照り焼き、菊花おひたし、かきたま汁、くだもの、緑茶でした。また、海老原氏の授業の内容を踏まえ、箸休めに金平糖とボーロが提供されました。
各組の教室で全員で姿勢を正し、「いただきます」の発声とともに給食をいただきました。生徒たちは、授業で学んだことを念頭に楽しく美味しくそうに喫食をしていました。



菊花おひたし、かきたま汁、くだもの、
緑茶
そして、全員で「ごちそうさま」をして、「和食月間」特別出前授業は終了いたしました。生徒たちは数々の貴重な経験を通じ、印象深く記憶に残る1日となりました。
最後に、本企画の実施にあたり、ご理解とともに多大なご協力をいただきました、東陽中学校の平本先生を始めとする教職員の皆様、ご来賓の農林水産省の皆様、そして和食器の使用から運営まで深く携わっていただいた和食会議会員である三信化工株式会社様に改めて御礼申し上げます。

