「和食」のつぼ


−箸の色々②−

     こんにちは近茶流の柳原尚之です。

    今回は料理に使う箸についてお話しします。

    〇取り箸
     大皿料理など皆で取り分けて頂く場合、取り箸を用意します。
     茶懐石では、主に竹の取り箸を用います。料理により、竹の節の位置や形を変化させます。
     流派によりその作法は異なりますが、近茶流では、焼物は中節、預鉢(煮物)は天節(節)、八寸(酒の肴)は両
     細と使い分けます。

     上から中節、天節、両細

     竹の種類も、青竹だけでなく煤竹やゴマ竹など料理により趣向を変えて使用します。
     家庭では、自由に取り箸を選んでいただいてよいのですが、お客様を招くときなど、取り箸にもこだわることで、
     料理の印象が格高になりますので、是非用意してみて下さい。

    〇菜箸
     菜箸は、料理を作っているときに使う箸。主に竹で作られていることが多く、熱い食材を持ったりするので、ある
     程度の長さが必要になります。

    〇盛り箸
     料理を盛り付けるための箸。箸先が細くなっていることから、細かい盛りつけがしやすい。
     箸の天(太い方)の方は扁平しており、盛り付けたときに器の縁についた和え衣などを落とすときに便利。また、
     箸先が汚れたりした場合、削ることでいつも清潔できれいな箸先で盛りつけすることが出来ます。

     上:盛り箸、下:菜箸
     盛り箸の天

    〇割り箸
     江戸時代に料理屋や屋台などの外食文化が生まれてから、使われるようになったと言われています。木材を使用す
     るために、自然保護の環境問題として扱われることもありますが、間伐材や端材などを用いて作られているため
     に、近年では資源を無駄にしないSDGsな道具として注目されています。杉、ひのき、竹など幅広い素材が用いら
     れています。
     お弁当には、元禄や双生箸とよばれる箸が使われて、料理屋さんでは天削げや利久箸を使うことが多いです。

     上:利久箸、下:天削げ

    〇箸置きについて
     手元箸の箸先を清潔に保つために使う箸置きですが、種類が豊富で、通年使えるシンプルな物から野菜や節供など
     をあしらった季節感のあるものまで、食卓の室礼に大切なアイテムとなっています。
     ちなみに箸置きが無い場合、お膳の縁に箸かけたり、小さいお手塩皿などにかけて箸を置くことも出来ます。

     色とりどりの箸置き

    最後に、
     箸について4回のシリーズで書かせていただきました。
    アジアでは、箸文化の国が多くあります。日本が他の国と異なる点は、器を持ち、箸を使って食べることです。現代ではテーブルでいただくようになりましたが、昔は畳などの上にお膳を置き、その前に座って料理をいただいていました。お膳と口との距離があるために、器を持って頂くようになったと考えられています。さらに器を持つことで、直接器に口を付けて頂く文化も発展し、箸の重要性がましました。
     箸は料理と人間を結ぶ「橋」として、和食文化の中ではとても重要な道具となっています。箸一膳で色々な料理をいただくのが和食です、正しい箸使いは、料理本来の味をたのしむのに必要ですし、食卓を共にしている家族や友達の気持ちもおだやかにしてくれます。是非箸について意識してみて下さい。
     ありがとうございました。

    柳原 尚之

    次回は、5月1日を予定しております。