「和食」のつぼ

盛り付け
−和食の盛付けの特徴1−

     盛付けの仕方も料理のジャンルによって様々ですが、ここでは和食の盛付けについて少しその特徴を見ていこうと思います。
     和食の盛付けの特徴は、立体的、高低がある、左右非対称、正面がある、陰陽、季節感、彩り、空間(余白)がある等。それらをバランスよく配置することで、おいしそうに見せることができます。器との相性というもの大切な要素です。これらの特徴をなくしていくと、和食とは違った別のジャンルの料理の盛付けになっていくのです。
     例えば、1種盛りの盛付けをしてみます。和食の器には柄のあるものが多く、柄や形でその器の正面が決まります。盛付けをしている人から見るのが正面で、食べられる方も同じ正面から料理を見て食べられます。1種盛りの場合は、杉盛りといって、器のまん中に杉の木のように山高に盛付けます。(写真1)
    例えば、これを立体的に山高に盛付けなかったらどうなるかというと何となく和食らしさがなくなってしまいます。(写真2)
    同じように立体的に盛付けた杉盛りでも、器のまん中に盛付けないとバランスが悪く、少し違和感が出てきます。(写真3)

    そして、器に対する量も関係してきます。少なすぎたり多すぎたりすることでずいぶん盛付けられた料理の印象は変わってきます。(写真4、写真5)

     2種盛りだとこんな感じになります。(写真6)
    立体的、高低、左右非対称、正面があるなど、特徴がしっかりと出てきます。高低というのも、奥が高く、手前が低くなるのが和食の特徴です。日本の地形が奥に山があり、手前が平野、そして川から海につながっていくような景色が多いのも、この盛付けが多くなる理由なのかもしれません。
    同じ2種盛りでも、空間を広くとるとこういった形の盛付けになります。(写真7)
    こちらも、高低や左右非対称などの特徴が現れています。

     3種盛りになっていくとこのようになっていきます。(写真8)

     盛付ける種類や切れ数などは陰陽が関係しています。陰陽とは中国の陰陽五行説のことです。陰陽五行説では割り切れない奇数は陽数で縁起のいい数字、2で割り切れる偶数は陰数で縁起の悪い数字とされています。そのため、盛付けも1種盛り、3種盛り、5種盛り、7種盛りなど奇数の種類で盛付けることが多いです。
    ただ陰数にもかかわらず、2という数字はよく使います。2種盛りであったり、2切であったりと。2だけは特別な数字なのでしょうか。不思議ですね。

    園部 晋吾

    次回は、12月1日です。