私たちの腸に共生する腸内細菌は、食事との相互作用により様々な形で健康状態に関わっていることがわかってきています。細菌と微生物の働きを賢く活かすことでもたらされる可能性について、最新の研究内容を報告します。
(登壇者の所属、役職は講演時のものです。)
微生物と食の温故知新 -食の機能を紡ぐ発酵醸造と腸内細菌-
小川 順
京都大学大学院農学研究科 教授
古来の発酵・醸造技術に見られる微生物制御の匠と、微生物の物質代謝能力の素晴らしさが解明されてきた。今後の健康社会の形成に向けた微生物機能利用の取り組みを、「新しい食品機能開発へ展開」と「腸内細菌の機能利用」を軸に紹介。
食と腸内細菌の見えざる関係と健康未来
國澤 純
国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所 センター長
腸管免疫は⽣体防御やアレルギー・炎症などに関わるだけではなく、糖尿病や肥満などの⽣活習慣病にも関わることが明らかになってきた。今後、重要性がさらに注⽬される健康維持における腸管免疫について、⾷事や腸内細菌を介した腸内環境の構築と免疫制御・⽣体応答との関する基礎研究、その知⾒を活⽤した機能性⾷品や創薬開発の可能性についての紹介。