第4回:長寿につながる和食を科学的に再発見する(2020.2月 東京)

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高齢化社会となった今、いつまでも健康ですごすことは私たちの願いです。世界的に健康的な食事と評価されている和食は、私たちの健康にどのように役に立っているのでしょうか。健康的な長寿につながる和食について、科学的側面から最新の研究内容を報告します。

(登壇者の所属、役職は講演時のものです。)

伝統発酵食品が育んだ和食文化と、我々にもたらす健やかな未来

小栁 喬

石川県立大学生物資源環境学部 准教授

塩麹や甘酒などを軸に空前の発酵食ブームが到来したことは記憶に新しい。しかし、発酵食は長い伝統の中で知らず知らずのうちに我々に寄り添い、共に歩んできた知己である。米、麦、大豆や水産物まで、ありとあらゆる山海の幸に乳酸菌やカビ、酵母などの微生物を増殖させ、我々は食品とともにそれらを大量に体内に取り込んできた。肉眼に見えない微生物達の有用なはたらきが既に和食の中に溶け込んでいる。そして、現代を生きる我々の身体も少なからずその恩恵にあずかっており、これからも頼るべき良き友であることを紹介。

和食が心身の健康に及ぼす影響について

辻 一郎

東北大学大学院医学系研究科 教授

演者らは、宮城県内の住民約5万名を対象にコホート研究を実施している(大崎コホート研究)。その結果、日本食パターン(米飯・味噌汁・漬物・野菜・魚介類・海藻・緑茶の摂取が多く、牛肉・豚肉の摂取が少ない)の度合いが強い者ほど、死亡リスク(とくに循環器疾患死亡リスク)が低く、要介護や認知症の発生リスクも低いことが分かった。これらの研究結果を概括し、和食が心身の健康に及ぼす影響について論じる。

以下の資料をダウンロードできます。

小栁 喬先生 講演資料(PDF)

辻 一郎先生 講演資料(PDF)

講演会チラシ(PDF)