「和食」のつぼ

食卓の彩り
−リネンの魅力−

     様々な器を取りまとめてくれる折敷のお話に続いて、食卓をより印象的に魅せ、おいしさを運ぶ効果的なアイテムをご紹介しましょう。それはリネンです。
     リネンとは本来、麻(亜麻)という意味ですが、テーブルコーディネートでは、食卓に使う布類すべてを指します。これらリネンは、ヨーロッパで古くから使われていましたが、和食文化にはなかったものです。戦後、ダイニングテーブルの普及に伴い使われ始め、今では座卓にも使われるほど、身近なものとなり食卓の彩りに一役買っています。

     リネンの中で、特にテーブルクロスとテーブルランナーはおすすめです。
     まず、テーブルクロスのうち、テーブルサイズより大きくテーブル全体を覆うものは、特にフルクロスと呼びます。テーブルから20~30cmほど垂れる大きさが目安です。
     食空間の印象をガラリと変えることができるので、ハレの日の食卓にはぜひ使ってみたいものです。
     フルクロスクの下には、アンダークロスを敷きます。素材はネルや綿、サイズはテーブルよりひとまわり大きなものが適切です。クロスのズレを防ぎ、器やカトラリーのあたりをやさしくして、水ジミを吸収します。
     一方、テーブルランナーは、テーブルの長い辺の中央にかける帯状の布です。テーブルの奥行きに対して渡す帯状の布はブリッジランナーと呼びます。
     ランナーは、テーブルの素材を見せながら、クロス感覚も楽しめるおしゃれで便利なものです。ランナーの幅は、30~40cmが一般的ですが、細いほうがモダンでシャープなイメージになります。
     フルクロスの上には色柄の違う小さめのクロスを重ねたり、ランナーを重ねたりもできるので、それぞれを数枚持っておくだけで、演出の幅が広がります。

     リネンの中で最も格高なのは、麻の白無地ですが、家庭用には、色柄のあるものが気軽に使いやすいでしょう。素材は、化学繊維との混紡や撥水加工済みのものが扱いやすくおすすめです。まずは、好みの色無地のリネンを選んでみてはいかがでしょう。
     こちらには、同じ食器を配膳し、リネンを変えた例を載せています。お好きなリネンはあるでしょうか。
     軽やかで明るい淡い色は素敵です。濃い色は場が締まります。柄物のリネンなら、全くイメージが違って見えませんか。その上にランナーを重ねると、一層変化がつきます。
     器や料理、季節、空間のインテリアとカラーコーディネーションしてみるとよいですね。
     昨日と同じ器に料理を盛りつけたとしても、リネン一枚変えるだけで、イメージを一新させて、今日の食事を一層おいしく味わうことができそうです。

    長尾 典子

    無地のクロス

    柄のクロス

    無地クロス+ランナー                 無地クロス+ブリッジランナー

    次回は、2月1日です。