和食は「水の料理」と表現されるほど、その繊細な味わいには水が大きく関わります。
そして和食にとって欠かせない存在が、味のベースとなる出汁。
出汁と水の関係は深く、同じ材料を使っても、水が変われば出汁の味わいも変化します。
これには水の硬度が関係しており、軟水は出汁の旨味が出やすく、硬水は旨味が出にくいといわれています。
日本の水はヨーロッパなど他の国と比べて硬度が低い傾向にあるため、出汁の旨味が出やすい水です。以前、和食料理人の方から「海外で料理をする時は日本から軟水を運んでいる」と伺いました。水が変わると出汁の味が変わってしまうため、使い慣れた日本の水が必要なのだといいます。
ただ、日本国内でも地域によって水の硬度は異なります。関東は硬度が高いため出汁の旨味が出にくく、関西は硬度が低いため旨味が出やすい傾向にあります。
京都の料理人の方が「東京で料理すると、同じ昆布を使っているのに出汁の味が全然違う」と悩んでいたという話をお伺いしたことがあります。これには関東と関西の水の違いが関わっていますね。
下のグラフは、東京都の水道水と三重県の水道水で、いりこ出汁の旨味がどう変わるかを味覚センサーで計測した結果です。(当社調べ)
計測に使用した東京都の水道水の硬度は69.7、三重県の水道水の硬度は30.2です。
同じ原料・方法を使っても、水の違いだけで、出汁の味わいが変わることをお分かりいただけるかと思います。
もちろん出汁だけでなく、和食の多くの部分に水は関わります。
お米を炊く、お茶を入れる、みそ汁を作る、食材を煮る・蒸す・茹でる・・・
「水も調味料の一つ」という方もいるほど、水は料理の味に大きな影響を与えます。
皆さんも和食を作る際、食材だけでなく、水にもこだわってみてはいかがでしょうか?
三菱ケミカル・クリンスイ株式会社
参考
https://www.nature.com/articles/s41598-021-92949-8
https://tg-uchi.jp/topics/2829
次回は、9月1日を予定しております。