昆布は和食に欠かせない食材。
水は軟水、硬水に分かれますが、昆布は軟水のほうがその「うま味」であるグルタミン酸が多く抽出されます。日本は軟水の国ではありますが、地域によっては硬水に近いところもあります。関西の水はカルシウム、マグネシウムの含有量が少なく軟水です。反対に関東の水は硬水に近いので昆布のうま味が出にくいと言われています。それで関西には昆布だしを使った料理店が多く、関東では鰹だしを主に使う料理店が多いようです。
 また、すしや天婦羅のように新鮮な素材を使っての料理店も多いと思われます。昆布のグルタミン酸と魚や肉のイノシン酸、椎茸のグアニル酸、貝類のコハク酸などのうま味成分が混ざるとその相乗効果でうま味が倍増します。
昆布は江戸時代北海道松前藩から北前船により石川県や福井県に運ばれました。夏に収穫され、天日干しした後発送しましたが、着いた時には冬になり雪深く、関西に届けることができず春まで置いておきました。春になり味を確かめると美味しくなっていたのです。
つまり置いておいたことで熟成していたのです。それを『蔵囲い』といい、2年3年と置くことにしたのです。つまりこれも昆布の「旬」なのです。この旬の昆布から出るグルタミン酸が和食の旬の食材のうま味をさらに引き立たせる最も大切なものなのです。
 春になると蛤が出てきます。蛤の吸い物も美味しいです。だしのグルタミン酸とイノシン酸、そして貝のコハク酸、その相乗効果は見事にマッチして素晴らしいものです。
 夏から秋にかけて鱧があります。鱧料理といえば京都の祇園祭、大阪の天神祭りに欠かせない旬の食材です。鱧は梅雨の雨を飲んでおいしくなると言われています。蛤のお吸い物と同じく吸い物地に鱧のうま味成分のイノシン酸がさらに加わることでより一層美味しくなります。明石・淡路から担ぎ商人が運んできた旬の鱧。骨切りの技術を駆使して「造り 酢の物、焼き物、揚げ物、蒸し物、しゃぶしゃぶ」といろんな料理ができます。秋になるとそこに香り松茸が入ります。

七代目 近又当主 鵜飼 治二

次回は、10月16日です。