「旬」とは辞書で調べると「魚や野菜、果物などの最も味の良い時期」また、「物事を行う最も良い時期」
昔は地域ごとに美味しいものを食べるため近くの山や川、海から食材を採り、感謝をしていただいた。採りに行ってくれた人に会えばお礼を言い、運んでくれた人にもお礼を言う。
その食材が手に入ると調理し、作ってくれた人にも感謝をしていただく。もちろんその食材にも感謝をする。それはその時期の最も美味しい栄養価の高いもの、まさに「旬の食材」の命をいただいて我々に元気を与えてくれていたからです。だからこそ人々は自然を守り、大切にする心を持っていたのです。
しかし、近年日本はその山や川、海がなくても食材を手に入れることができるようになりました。そうするとどうでしょう。遠く離れた日本各地から、また海外からの美味しいものも手に入るようになりました。大型のスーパーができ何でも手に入ります。そして山には多くの住宅が建ち、川や海は汚染が目立つようになりました。つまり人々の自然を大切にする気持ちが薄らぎました。それとともに食材に対する感謝やそれに携わった人に対する感謝もなくなったように思います。昔は市場の存在も大きく、店主が旬の食材の使い方まで教えてくれました。「無言の買い物」と言って献立を決め、出かけ大きなスーパーに行く、そして何点かの買い物をし食材の賞費期限、産地、原材料をチェックし、ひたすら籠に入れレジに向かう。清算をして家に帰る。その間一言も話さない。市場のように商店主がいないので最近の食材事情や食材の調理法なども聞くことができない、皆が旬の食材の知識もなくなり一年中日本全国どこでも同じものを食べることができる時代になったのです。
旬はいいですね。日本には四季があり、祭りごとがあります。その季節に出てくる食材は美味しいです。旬の食材に対する知識があればさらにうれしくなります。また日本の歴史と食材とのかかわりも興味を持つことができるのです。もっと食材の旬を楽しんでみてはどうでしょう。
七代目 近又当主 鵜飼 治二
次回は、9月19日です。