くらしの歳時記

12月7日 大雪 たいせつ

     12月7日は二十四節気で大雪(たいせつ)にあたります。15日後は冬至です。12月に入ると北海道をはじめ雪国といわれる地域からの雪情報がニュースで流れます。私は雪を頂いた山の風景、特に澄み切った青空を背景に真っ白になった北アルプスの景観は圧巻と思います。冬の空気は凛として澄み渡る気配が感じられ、とても好きでした。
     12月から3月にかけて、スキーやスケートなど冬ならではの楽しみが幕開きます。群馬県は赤城山や榛名山の湖が凍り、冬の行楽にわかさぎ釣りとスケートで賑わいます。地域のスケート場は大人たちが裏山の田んぼに水を張って子供たちの遊び場をつくっていました。
     子供のころの雪合戦も今は懐かしい思い出です。気温により雪質に差があることもかなり年を重ねてから知ることになりました。それまでは雪合戦は雪があればできるものと思っていましたが粉雪ではまとまらず、雪質の差に驚いたことを思い出します。窓に張り付いた雪の結晶にみとれたことなど、厳しい寒さとともに今でも脳裏に焼き付いています。
     12月はお正月を迎える準備の月です。手始めが“すすはらい”(13日)で、町中一斉にやっていましたが、いつしか一斉にやることはなくなりました。畳をすべてあげて天日に干すのですから、普段の景色が一変して子供も手伝わされて大にぎわいです。それに続いて障子張りも思い出の風景です。これが終わるとお正月のお餅やごちそうが食べられると楽しみに待ったものです。そう、待つことを知るということがどんなにうれしいという感情を育てていたかと思います。
     そして漬物の季節でもあります。白菜漬けや沢庵の仕込みを町ではあまり見かけませんでしたが、近郊の農家には干し大根が並んでいた景観を思い出します。
     漬物は保存食として貴重な加工手段ですが、自然の条件を巧みに生かした先人の知恵には感服します。漬物の発酵に時間がかかるために現在の生活条件には合わなくなり、調味漬けが主流になっています。私は種類の異なる漬物と考え、やはり白菜も沢庵もしっかり時間をかけてつけたものを味わってほしいと思います。我が家も相方がいた時まではベランダで二株白菜漬けをつくり、漬け日数ごとにつかり加減の味の妙に会話がなされました。それも今では懐かしい思い出です。この時期には山東菜が八百屋の店先に並び、漬物をする人がいることがわかりましたが 令和になってからは、山東菜は購入されなくなったのか作らなくなったのか見られなくなりました。
     沢庵も古漬けの酸っぱくなったものが小さいころから好みでした。昔は八百屋の店先におばさんが仕込んだ沢庵の樽が並んだものです。旅先の漬物屋で懐かしい古漬けを売っているとついつい購入して、楽しんでいます。 

    大久保 洋子

    次回は、12月22日 冬至(とうじ)です。