くらしの歳時記

11月22日 小雪 しょうせつ

     二十四節気のひとつ小雪(しょうせつ)は、雪が降り始めるころ、今年は11月22日、期間は22日から12月6日までの15日間です。
     この期間には、「和食の日」が含まれることに気づかれることと思います。23日 は勤労感謝の日、宮中祭祀の新嘗祭でもあるため、1日後の24日を「いい日本食」として制定したことはご存知の通りです。
     さて、私が住む神奈川県では、小田原、湯河原、三浦半島などに、みかん畑の風景が広がっています。湯河原の農家近くには無人販売所が点在し、熟れたみかん1袋500g程度が100円ほどで求められ、これからしばらく楽しむことができます。
     冬においしくなる大根は、今はほとんど青首系が主流ですが、江戸時代は各地域で品種改良が行われ、漬物用の練馬大根、薬味用のねずみ大根など、年間を通して利用するため、冬だけでなく三月大根、夏大根、秋大根などが栽培されました。
     江戸時代には、大根の材料別料理書『大根一式料理秘密箱』『諸国名産大根料理秘伝抄』が出版されました。様々なアイデアを盛り込んだ料理は、意外な、しかもとてもおいしいものがあります。3つほど紹介しましょう。
     まず、大根雪汁。だし汁におろし大根を汁ごと入れて火にかけ、塩を少しと味噌で味つけします。水溶き片栗粉を入れとろみをつけ椀に盛り、陳皮、青葱、七味とうがらし、細切り海苔をちらします。薬味がやさしい味にアクセントを添えてくれます。
     次は、揚げ出し大根。大きめに切った大根の水気を切り、串が通るくらいまでゆっくり揚げます。アツアツのうちに生醤油をかけ、大根おろし、鷹の爪の輪切りを盛ります。大根はこんなに甘いのかと驚くほどです。
     最後は、おぼろ大根葛かけ。二人分なら5センチくらいの輪切り大根を適当に切り蒸します。電子レンジでもできます。これをすり鉢ですりつぶし、片栗粉・白玉粉を各大さじ3ほど混ぜ水で濡らした器で透明になるまでさらに蒸します。だし汁に塩と醤油で味をつけ水溶き片栗粉でとろみをつけ、これをかけて、おろししょうがを天盛にします。
     甘味料を入れないことで、食材の旨味と甘味を感じることができます。最後の料理には、簡単な分量を入れましたが、江戸時代の料理書には、通常分量はありません。各自の解釈でアレンジできる余地を残しているともいえ、私も多少アレンジしています。皆様も各自工夫して作ってみてください。

    江原 絢子

    大根雪汁
    揚げ出し大根
    おぼろ大根葛かけ

    次回は、12月7日 大雪(たいせつ)です。