半夏生とは、夏至から数えて11日目の7月2日から七夕(7月7日)までの5日間をいいます。いろいろな説がありますが、農作業の大切な目安として田植えは夏至のあと半夏生に入る前までに終わらせるのが良いとされ、無事に田植えが終われば田の神様に感謝をする行事を行い、この日の天気で収穫の出来を占ったりもしました。
そもそも七十二侯の半夏生は、半夏(烏柄杓)という薬草が生える時期に由来します。それとは別に同じ頃に花が咲く半夏生という草もあって、この草は七十二侯の半夏生のころになると緑の葉が一部を残して白く変化します。(そして)ちょうど半夏生の葉が白くなる時期に明石のたこがおいしくなるので、関西で育った私は葉の色が白くなった半夏生を見かけると「たこを食べたい!」と思うのです。子供の頃に作ってもらった思い出のたこ料理は、子芋と一緒に炊いて仕上げに青ゆずをおろして振りかけたもの。思い浮かべると青ゆずのさわやかな香りも同時にぱっとよみがえります。これが私の半夏生。
さて、たこがおいしくなる季節ということでぜひおすすめしたい調理法をご紹介します。たこを柔らかく煮たいとき、お料理屋さんではボウルにたこを煮汁ごと入れて蒸し器で蒸し上げることが多いのですが、家庭では大きな蒸し器を出して調理するもの大変ですし、最近は収納事情から蒸し器を持っていないひとも多いかと思います。あるとき西洋風の煮込み料理の方法が使える!とひらめき、やってみたら大成功。程よく柔らかく、きれいに煮えました。厚手の鋳物鍋(土鍋でも)にゆでだこと煮汁を入れ、直火にかけて煮立てたらふたをして160~170℃のオーブンに入れて30分加熱し、その後オーブンから出してそのまま15~20分置いておくだけ。蒸し器はなくてもおしゃれな鋳物鍋ならお持ちのかたも多いのではないでしょうか。みなさんもぜひ試してみてください。
後藤 加寿子
次回は、7月7日 小暑(しょうしょ)です。