「あんぱんのあんこはこしあんですか?つぶあんですか?」と聞かれることがあります。弊社のあんぱんは、桜あんぱん、けしあんぱんはこしあんで小倉あんぱんはつぶあんを使用しておりますが、スーパーで売られているものや街のパン屋で売られているあんぱんで調べてみますとつぶあんであることのほうが多いようです。
また、地域差もあり関東はこしあん派、関西はつぶあん派がそれぞれ多くなっていました。ほかにもあんまんでは、関東はごまあん、関西はつぶあんが使われており、まったくの別物のようなあんこもありました。
特に差が大きかったのはお汁粉です。
そもそもお汁粉とはあんこを水で伸ばし、砂糖を加えて煮込んだものをいい、一般的には餅や白玉などが入っていますが、関東ではこしあんもつぶあんもお汁粉と呼び、汁気のないものを善哉(ぜんざい)と呼んでいます。
余談ですが善哉とは、とんちで有名な一休禅師が京都大徳寺の住職から餅の入った小豆汁をご馳走になったときその美味しさに「善哉此汁(よきなかこのしる)」とおっしゃったことが語源となっているようです。(諸説あり)
本題に戻りますと関西ではこしあんを使用したものをお汁粉と呼び、つぶあんを使用したものを善哉とし、汁気のないものを亀山と呼ばれているようでして、京都に遊びに行ったときぜんざいを頼んだらお汁粉が出てきて驚いたことを思い出します。
同じ食べ物でも地域によって様々な文化と交じり合い独自の発展を遂げているという点においてはお汁粉もあんぱんも同じです。また地域によって呼び方が変わり、また好まれ方も違っているようですので、旅行などでお出かけの際はその違いを楽しまれてはいかがでしょうか。
京都で思い出しましたが、小生の妻は京都出身でして、お正月には丸餅入り白みそのお雑煮が出てきますので、東京生まれとしては鰹節と昆布のお出汁のお雑煮でなく戸惑ったことがあります。とはいえ、食べてみると白みそのやさしいお味が楽しめましたので、
ついポロっと「普通のお雑煮とは違うけどこれはこれでありだね」と言ってしまい、京都がルーツや!と怒られまして、文化の違いを認め合うのは、あんこのように甘くはないようです。
株式会社 木村屋總本店 代表取締役社長 木村 光伯



