「和食:日本人の伝統的な食文化」ユネスコ無形文化遺産登録が決定

~伝えよう、「和食」文化を。~

unesco_01unesco_01この度、「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。今回登録された「和食」とは、料理そのものだけではなく、「自然を尊ぶ」という日本人の気質に基づいた「食」に関する「習わし」を示すものです。

海、山、里と豊かな自然に恵まれた日本では、各地で地域に根差した多様な食材を用い、素材の味わいを活かす調理技術・調理道具を発展させてきました。その中で日本人は、一汁三菜を基本とする理想的な食生活を営み、食事の場では季節に合わせ、花や葉、調度品や器などで自然の美しさや四季の移ろいを表現する食文化を育んできました。

また、日本の食文化は、各地域に残る年中行事とも密接に関わりあっており、自然の恵みである食を分けあい、食の時間を共有することで家族や地域の絆を深めてきました。一汁三菜を基本とする食事スタイルや、「うま味」を上手に使った動物性油脂の少ない食生活は、日本人の長寿・肥満防止にもつながっており、「和食」は今、世界的にも注目を集めています。

しかし、こうした「和食」の姿が今、国内でも失われつつあります。自然環境の変化や健康問題、ライフスタイルの変化、家族のあり方など、食の問題は現代の社会にもつながる深刻な課題となっています。

今回の「和食;日本人の伝統的な食文化」のユネスコ無形文化遺産への登録は、決して一過性のものではありません。この登録を契機として本来の「和食」のあり方を再度見つめ直し、次世代へ継承できるよう取り組んでいくこと。これが、私たちの世代に求められている重要な役割ではないでしょうか。

和食会議では、日本の食を支える生産者、食品メーカー、フードサービス、観光業などの様々な企業・団体、そして地域の郷土料理保存会や食育団体・NPO・料理学校などの食にかかわる団体、地方自治体、個人日本全国の会員と一丸となって、こうした「和食」文化の保護・継承とその魅力発信に今後も継続的に取組んでいく所存です。

これからも、今まで以上に広く強く連携を行い、かけがえのない我が国の食文化を次の世代へと継承していきましょう。

平成23年12月

「和食」文化の保護・継承 国民会議 会長
熊倉 功夫