二十四節気の7番目が立夏であり、今年は5月5日から20日までです。この時期は「目に青葉・・・」といわれるように大きな落葉樹が芽吹き始め、あっという間にさわやかな風景に変わっていきます。行楽のシーズンでもあり、連休は多くの人々が楽しみを求め、思い出作りに励む時期でもあります。その陰で休めない立場の人たちもいることを忘れないようにしたいものです。都会の高層マンションの一角にも鯉のぼりが泳いでいるのを見るとほほえましくなります。
最近は気候変動で寒暖の差がはげしく、日差しも強い時があります。子供のころは初夏の日差しも真夏の太陽の光もどっぷりつかって日焼け自慢の経験から、日焼けにはとんと無関心でいたところ、オゾン破壊で昔のような太陽光線ではないといいます。みなさまお気を付けください。
この時期の食べ物にはソラマメがあります。ソラマメの鞘を割ると白いふわふわの綿に包まれていますが豆に栄養分を送る貯えの役目をしているとはいえ、食べない部分が多い豆だと思います。ソラマメの鞘はイタリアでは料理に使うようですが私のまわりでは聞いたことがありません。夏に出回るニガウリ(ゴーヤ)の綿は揚げ物などにしますのでソラマメもと思いますがちょっと無理そうです。ソラマメで思い浮かぶのはイギリスの童話「ジャックと豆の木」で、豆はソラマメと教えられました。ソラマメは鞘が空に向かっているので名称もソラマメと聞いて落花生と反対なのだととても印象的でした。でも収穫のころは少し下がるので天に向かって伸び続けるイメージとは異なります。この時期になるとソラマメを気持ちよさそうなふわふわふとんから取り出し、廃棄する量のなんと多い豆なのかと思いながら独特の香り、味をたのしんでいます。フライビーンズは殻ごと食べる派と殻を剥く派とがあるとか?私のソラマメはこんなところですが、中国は四川州の調味料である豆板醤の原料はソラマメと聞いたときは贅沢な調味料という印象を持ち驚きました。ほんの一瞬都会のスーパーに現れる高値のソラマメを楽しんだ次は藤の花のてんぷらを楽しみます。
また この時期に山梨の知人から木の芽が届きます。山椒の若葉のことを木の芽といい、木の芽和えで楽しみます。木の芽和えは青よせと味噌とを合わせた木の芽味噌で和える料理です。盛り付けにはトッピングに木の芽をポンと掌でたたいて載せます。なぜたたくのかは葉の裏の油滴を壊すことによって香りを出すためです。香りのする植物の葉は、風が強いと葉裏同志がすれて油滴がはじけて香りが漂います。江戸時代の料理書には「青よせ」という緑色の色素の作り方が出ています。擂鉢ですって、水を加えて伸ばしこした液(こした残渣ではなく液の方です)を加熱するとやがて緑色の塊(葉緑素)が浮かんでくるのを集めたものです。現在は茹でたホウレンソウなどをすったものを入れていることが多いですが、昔の人のたゆまぬ研究心には頭が下がります。
※後藤副会長の京都の山椒文化も味わい深いですね。
大久保 洋子
次回は、5月21日 小満(しょうまん)です。